昨今の社会情勢
一昨年に始動したトランプ大統領第二次政権は昨年の夏から今年初頭にかけて、「米国第一主義」に基づく矢継ぎ早な政策執行を断行しました。大規模な法人減税の恒久化や規制緩和に加え、AI(人工知能)を国家安全保障の核と位置づけ、シェールオイル・ガス等エネルギー供給の拡大による「AIデータセンター大国」への道を突き進んでいます。
分けても目覚ましいのはオンチェーン・ファイナンス(On-Chain Finance)の進展であります。これは単なる「暗号資産の取引」を超え、既存の金融システムとブロックチェーン技術が融合する「金融のオンチェーン化」の最終段階に入ろうとしています。
とくに昨今の大きな変化は、実物資産(Real World Asset)のNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)化と、法規制(金融商品取引法など)への完全適合です。かつては「実験」であった現実資産のオンチェーン化が、現在は資本市場の主流となっています。米国債などをトークン化した「利回り型資産」が分散型金融の基盤資産となり、機関投資家によるオンチェーン運用の利便性が飛躍的に向上しました。
また日本国内でも、ブロックチェーン技術を用いて株式や社債、不動産などの有価証券をデジタル化したセキュリティ・トークン(Security Token)市場は2026年中に一兆円規模に達すると予測されており、不動産信託受益権の小口取引が一般化しています。これまで暗号資産取引等の課題であった安全面でもKYC(Know Your Customer : 本人確認)やAML(Anti-Money Laundering : 資金洗浄対策)を備えた「許可型分散型金融」へとシフトしています。
今年は日本においても、暗号資産が金融商品取引法の枠組みでより厳格に管理される「デジタルアセット・ビッグバン」の年と言われています。オンチェーン・ファイナンスの普及に伴い24時間365日の即時清算が可能となります。全ての取引履歴が電磁的に漏れなく記録され、監査の負担も劇的に低下します。さらに高額な商業施設や個人資産も、小口に分割して投資可能になります。米国については国際紛争への介入ばかりが耳目を集めますが、歴史を塗り替えるような「静かなる金融革命」が進行していることにも注目が必要です。
一方、足下の日本社会は、戦後80年を経て「静かなる有事」が深刻さを増しています。昭和の高度経済成長を支えた終身雇用や大家族といったモデルは完全に崩壊しました。昨年、日本の高齢化率は過去最高の29.4%に達し、労働力不足は産業界全体の共通課題となりました。雇用形態は流動化が進む一方であり、出生数は約70万5,000人と10年連続で過去最少を更新しています。合計特殊出生率も1.20と低迷し、少子高齢化社会の出口は見えていません。今後は増加する80歳~90歳代に多い入院医療体制と介護を一体的に提供できる体制とを強化しなければなりません。在宅医療提供体制の強化も待たれます。また専門外来よりも「超」高齢者を念頭に置いた「かかりつけ医機能」の充実も待たれます。これらのことから引き続き充実が期待されているのが国策としての「地域包括ケアシステム」であります。医療も介護も福祉も総合的に確保しながら、住み慣れた地域で自分らしく人生の最後を迎えられるのが地域包括ケアシステムの目指すところです。
これらの視点から、介護・福祉の分野においても事業者の機能分化と連携から複数事業者の集約へと進む段階に入りつつあると思われます。医療サービスの提供においては、2017年度より地域医療連携推進法人を創設できるようになっています。地域医療のいわゆる"持株会社"のような位置付けとして、医療法人間の連携の強化が期待されています。社会福祉法人も地域医療連携推進法人への参加が認められているものの、医療法人が中心との印象はいなめません。「超」高齢社会となる2040年の我が国の将来を見据えたとき、ゆくゆくは社会福祉法人・医療法人の別なく、「地域包括ケア推進法人」のような法人の下で多様な施設が地域の中で連携していく形が望ましいと思われます。
このような社会情勢においてほくやく・竹山ホールディングスはどのような方針のもとで事業を運営すべきなのでしょうか。
個々の事業の自立と連携(Alliance and Autonomy)
私たちには複数の事業会社があり幾つかの分野に分かれて経営されています。医療、介護、福祉と保健はこれまで別々の制度として認識されることが少なくありませんでした。しかし地域包括ケアシステムの構築が進むにつれてこれらの制度間の垣根が年々低くなってきています。社会保障制度の内側で事業を営むほくやく・竹山ホールディングス内でも互いの事業分野の重なり合う部分が次第に広がってきています。しかし個々の企業によってその沿革、経営資源、企業文化は異なります。これらは従来個々の事業分野に特化して強みとなったものです。そこで私たちの事業方針として「自立と連帯(Alliance and Autonomy)」を掲げます。自立は行き過ぎると「孤立」になり、連帯も過ぎると「依存」になりかねません。個々の事業分野での「強み」を維持・強化しながらも、相互協力によってより大きな競争力を獲得してまいります。
設立20周年、「TSUMUGU HOLDINGS 」へ
個々の事業会社の強みを結集してより大きな競争力を発揮したい。そのような模索の中でほくやく・竹山ホールディングスは設立20周年を本年、迎えます。その際に事業会社それぞれが自分たちの足元を見つめ直し、お互いの相違点を乗り越えて一致点へ至るためには新しい時代にふさわしい共通の心構えが必要であるという結論に到達しました。その結果、新しい企業理念、使命、価値観を新たにし、何よりも自らの社名を変更することでその決意を表すべきであろうと考えました。私たちは社歴も事業規模も事業内容も違う会社の集まったグループであります。
細い糸、太い糸、長い糸、短い糸、赤い糸、青い糸、それぞれに違う会社が、しかし依合わさって一つの糸に紡がれていきたい、と祈ります。
本年9月29日の設立記念日を持ってほくやく・竹山ホールディングスは社名を「TSUMUGU HOLDINGS 」へと変更します。
グループ各社の多様な事業を紡ぎ合わせ、北海道の保健・医療・介護・福祉を切れ目なく支え、新しい価値を創造していくこと。この北海道の未来を、地域に住む人々の健康な毎日を紡いでいくこと。それが「TSUMUGU HOLDINGS 」に込められた想いであります。
この新社名と共に、私たちは 2026 年、「第二の創業」を開始いたします。
